第十章

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フィリアはニールに微笑みかけた。 フィリア:「貴方は私の考えが分からないのかしら?」 そういわれたニールは黙り込んでしまった。それから顔をしかめながら頭を掻いた。 ニール:「…ディア様とゲンテル様の…」 フィリア:「えぇ。私がディア様を置いて…幸せになることは出来ないのよ」 < フィ > そう言い残しフィリアは踵を返して彼の前から居なくなった。 < 三日後 > フィリアと少し険悪な雰囲気の中、ニールは人気のない場所に呼び出されていた。 < かさっ > 彼に少し遅れ、呼び出した人物が姿を見せた。 ニール:「…ゲンテル様…」 ゲンテルは寝間着にマントを羽織った格好で待ち合わせ場所の庭にきた。 ゲンテル:「すまない…こんな時間に」 ニール:「いえ…それよりも…大事な話というと…?」 < ぼりっ > ゲンテルは少し照れた様子でぽつりと言った。 ゲンテル:「…聞いたよ。君はフィリアさんにプロポーズをしたんだって?」 ニールは目を大きくした。 ニール:「え、ええ…まぁ…」 彼は返事を濁した。 ゲンテル:「…俺、ニールに聞きたかった事があるんだけど…」 ニール:「はい、何でしょう?」 < かぁぁ… >俯きがちだったゲンテルはバッと顔を上げてニールを見た。彼の顔は赤くなっていた。 ゲンテル:「ぷ…プロポーズは…何て言った?」 ニール:「…え?」 ニールはきょとんとした。 ゲンテル:「プロポーズだよ!」 ニール:「結婚しよう…ですが?」 < ガシッ > ゲンテルは頭を抱え込んだ。 ゲンテル:「そうじゃなくって…彼女に、ディアに…プロポーズするんだよ!」 ニール:「!」 彼の言葉の意味は重大なモノを担っていた。婚約していた二人に今更プロポーズも何もない。親同士が決めたとはいえ、二人は恋愛だった。そんな彼がディアにプロポーズするという事は、両家が本当の親戚になるということであり、つまりは結婚式を行う申し込みをするということだった。
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