第一章

11/11
前へ
/273ページ
次へ
俺が何回か『王子だろ』を続けると、相手も『王子じゃない』を繰り返すだけで前に進まない。 俺は王子だろうがなんだろうが、どうでもよくなってきていた。 どうせ敵なのだろうから。 「解ったお前は王子じゃなくてもいい、前に戦った奴と似ている奴なんだな?」 「あぁ。そうだ」 「んじゃダウト」 「続行!?てかまだ1しか出してないってのに!?」 「で、名前は?王子」 「王子じゃない、アロクだ」 「アロク?あくろじゃなくて?」 「アロクだ」 「牙刃、どうするの?」 「王子じゃないなら心配することもないだろう」 「…そうだねっボクはムツル。それから牙刃だよ」 「んじゃあこのカードゲームはアロクの負けってことで」 「意味解ンねぇよ、てかお前何者だ?双黒」 「双黒言うな、うちは代々黒で生き黒で逝くんだよ。いや…日本人の半数は双黒だ、外人に憧れて染める輩もいるみたいだけどな」 「何言ってるか解ンねぇ」 鬼に日本人の心とか人間の心理は理解出来ないようだな。 俺も多分、鬼の心理とか解らないんだろうな。 *
/273ページ

最初のコメントを投稿しよう!

392人が本棚に入れています
本棚に追加