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街には活気があり、明るい。
この港町、リノアは大陸で2番目に大きな街だった。首都から少し離れているにも関わらず人はやたら多かった。
表は。
明るいのは表面だけ。
リノアは大陸一差別の激しい街だった。観光客で表を明るく彩り、しかしその裏のスラムでは貧しい民が血眼で生きる道を探していた。
そこに俺はいた。2歳で捨てられ、拾われた。今ではもう3年の月日が流れていた。スラムで3年。過酷な日々に苦しめられていた。
「おいガキィ!!テメェこの俺様に盾突く…」
「俺はガキじゃないよ、オッサン。」
「うぉあっ!?」
踏ん反り返る男の顔の脇を一本の風が走って…壁をえぐった。
「ひっ…!?なっ…キサマ…」
「ほら、ガキじゃない。俺は別に戦う気は無いからさぁ、消えてくんない?」
ニコリと笑うと男は腰を抜かしながらも逃げて行った。
それを見ていた俺の友達の大人達はケラケラ笑い俺の頭をクシャクシャにして褒めてくれた。
「見たかあの面!エルヴン、やっぱお前は強ぇな!!」
「スカッとするねぇ!あんた、そのうちここのボスになれるんじゃないかい?」
「んなの、別にいいって…俺は別に戦いたいわけじゃないし。」
(…だって…あいつ、俺の仲間を傷付ける…だから俺は…)
いつも仲間には強いって言われる。5歳で剣を扱い、大人を負かす力。…でも、中には化け物と呼ぶ奴だっていた。悲しくはなかったけど、いつも疑問は絶えなかった。
どうして身を守る為に必死で力を付けたのに怖がられるんだろう?
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