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そんなある日、俺はあいつに出会った。
「助けて…や…やだ…怖い…怖いよ…っ…」
あまりに弱々しいその声に、俺は自然と手を延ばしていた。
「…一人でいるから怖いんだよ。ほら、こっち来な。」
柔らかい手を俺は初めて触った。俺達の手は痩せてゴツゴツしてるから…。
「泣くなよ。あんた俺より年上だろ?恥ずかしくねぇの?」
身長は俺より少し高かった。髪は雑に切られていてまちまちな長さだったけど…サラリとした紺の髪は俺達よりずっと綺麗だった。
「うっ…ひっぐ…っ…っママは…?ママはどこに行っちゃったの…?」
高い声のその子は泣きながら俺の顔を見た。
本当のこと…言ったらこいつは…また泣くだろうか…
でもここで暮らすには
これくらいで負けちゃダメなんだよ。
「あんた、何も知らないんだな。…捨てられたんだよ?あんた。ママはもういないんだよ?」
どれだけ…傷付けたのか不安になる。傷付けることは…嫌いだから。
「…嘘…だってママは…ここから出ちゃダメよって…迷子になったらダメだからここにいなさいって…。すぐに…戻るからって…」
今にも壊れそうな表情に…逃げたいなんて思った。
でも逃げるのも嫌い。
だから
俺は手を掴み、出来るだけ日の当たる場所に連れて行った。
「あんた、名前教えろ!」
「うぇ…っ…?ジ…ジン…。ジン・クライアン…。」
「よし、ジン!今日から俺、ジンの友達になる!!」
馬鹿みたいに叫ぶと
ジンは
笑った。
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