一歩目、冷たくても暖かさを信じたい

3/14
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「ご馳走様でした」 食べ終わる時間はそれぞれ違うからこの台詞ものタイミングもそれぞれ違う。 カサにとって姉に当たるボウシは、食べるスピードが早いので、とっくに部屋に帰っているはずだが・・・。 しかしカサは、ボウシが片付けをやると期待するほど、甘ちゃんでは無かった。 さっき読んでいたのはアルバムであろう。 あそこには、そういった大切なものだってしまい込まれている。 そこへ何でもかんでも強引にしまうから、だいぶ前の捜し物だって出てくる。 つまり、一種のタイムカプセル。 今度こそは、片付けを手伝わないぞ、そういう決意を胸にしまい込み、自分の部屋のドアを・・・・・・、開ける。 「待っていたぞ、弟よ」 あんたと待ち合わせした覚えはない、そう言ってカサは、自分の机に置いてあるランドセルの中身をごそごそとやりだした。 「いいのか? おまえの寝る場所が無いぞ?」 ボウシの攻撃。 家は敷き布団なので、こう物が散乱していると横になることができない。 「お母さんに言って他のスペース考慮してもらうからいいよ」 存分に散らかしてくれ、と言うと、椅子に座ってカサが勉強をやり始めてしまった。 むむむ、と唸って物思いにふけるボウシ。 何か打ち負かすための策はないものか?
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!