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その男は、矢羽田 真映(やはた しんえい)と名乗った。
「いや~怖いじゃないですか?」
目の前で“怖い”という感情などないかのように、へらへらと笑っている真映。
その男を、俺達は難しい顔をして見ていた。
話は、暫く前に遡る────
カラン
入り口から依頼人の来訪した合図が届いて、それまで穏やかに話していた俺達の空気は一変する。
「飛鳥君。
ドア開けて、依頼人をおもてなしして。
澪君は紅茶」
完全に“探偵”の顔になって、ノアはテキパキと指示をする。
それに、俺達は従った。
そして俺は、指示通りに依頼人をおもてなしするために、ドアへ向かう。
そして、ゆっくりとドアを開け お決まりの文句を言おうとして───
「万事探偵支部の者です。
此方へど」
「やっ、悪いね~♪」
入るのが当たり前の顔をしている男に、途中で遮られた。
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