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その男は、行動に合わせるかのように、飄々としていた。
「ちょ~っと相談したいことがあってね♪
いや、悪いねぇ♪」
ずかずかと、悪いなんてことは思っていないかのように、真映は事務所の中に入る。
言葉を遮られた形になった俺は、ただ呆然とするだけだ。
俺は暫くしてから、ぽつんと呟いた。
「何だ…アレ」
しかし、いつまでも呆けているわけにはいかない。
俺は男の後を追うように、慌てて事務所の中に入った。
そして
「うーわー…」
さっきの俺と同じように、呆けている澪を見つける。
「澪っ?」
俺が驚いて名前を呼ぶと
「飛鳥…あの方は?
いきなり来て、“やっ、気をつかわせちゃって悪いねぇ”と言いながら、紅茶をポットごと飲んでいかれて…」
澪は、信じられませんと顔にでかでかと書きながら、ノアのいる方に進んでいった男を見て、深々とため息をついたのだった。
「嫌な予感が…します」
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