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「レェ…ロレェホ…アラタ…ホロ…」
唇や声紋が、上手く動かせない…
「レェ…→『ネェ…』かな…」
「ネェ…ロレェホ…アラタ…ホロ…」
「ロレェホ…→『オレェノ』」
「ネェ…オレェノ…アラタ…ホロ…」
「アラタ…→………」
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「ネェ…オレェノ…アタマ…ドコ…」
「ねぇ…おれの…あたま…どこ…」
「ねぇ…おれの…あたま…どこ…」
言っている意味がわかった瞬間…背中に氷柱を押し付けられた感じがして鳥肌がたった。
怖い…いや、違う、そんなんじゃない。でも、なにか嫌…な感じがする吐き気がする。
一瞬でも、この患者を人間扱いができていない自分を反省した。
看護学校の教科書では、『人権の尊重とか、その人らしい個性』とか書いてあるけど、この患者の時代は、そんなの関係ない。
ストレスなどの原因から、幻覚・妄想で苦しみ。知らないうちに病院に連れて来られ自由を奪われ、そしてロボトミィ手術により感情・思考を奪われる。
こういった人こそ、『人権の尊重、その人らしい個性が大切』だと思う。
今も、この患者は、ベットに臥床しながら叫び続けているだろうな。
「レェ…ロレェホ…アラタ…ホロ…」
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