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「王子……さま…」
しまった…
一番会いたくないやつにあっちまった…
『ここで何してるの?ここは掃除範囲じゃないだろ?』
私の持ってるホウキに目がいったらしい。
「すいません…なんか迷ってしまって…」
そう言えば、王子と話すのはこれが初めてだ。
金髪に青い瞳。
身長は標準やね。
顔も普通。
別にカッコよかねぇよ、普通の若者。
『王子』ってだけでイケメンだと思っちまうんだろうね、一般ピープルは。
うちの弟の方がよっぽどイケメンやわ。
金髪で青い瞳なんてこの国ぢゃウジャウジャいるし…
『案内しようか?』
王子の声で我に戻った。
「いえ!!自分でなんとかしますから!」
『いやいや、自分だけじゃ帰れないから迷ったんだろ?』
王子は、ぐいと私の腕を引っ張り連れて行く。
「あのっ…」
『いいから、いいから』
いやいやいやいや!!!
これがチーフにバレてみろ!!ソッコークビやで!!!
ぐいぐい腕を引っ張られてる…
後ろ姿はカッコイイかもしれないとか、このまま王子の部屋に連れ込まれたらどうしようとか、いろんなこと考えてたら…
自分の持ってるホウキにつまづいてしまった…
「わ!!」
私は床にビタン!!と倒れてしまった。
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