白い夢、黒い現

子守唄（現）

異変はすぐに起こった。

ずん、と身体が重苦しくなり、金縛り状態に陥った。

私は幼少期から金縛りに遭いやすい質だったので、こんなコンディションで寝たら少なからず何かあるだろうな、と予想はしていた。

しかし、その金縛りは今まで体験したものと比べ物にならないほど強く、まるで何人もの人に抑えつけられているかのようで、いつものように振り切ることができなかった。

声を出して隣にいる母に助けを求めようとしたが、それもできない。

音が聞こえてくる。

ぱたぱたと複数の子どもが部屋中を走り回っているかの様な、軽やかな足音。

唐突に、それまで閉じたままぴくりとも動かせなかった瞼が、無理矢理開かされるようにして眼前の景色を写した。

ぼんやりと見える、私を覗きこむ老いた女の顔。