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私を覗き込む女の声が聞こえてくる。
「ねーんねーん ころーりーよ ころーりーよ…」
子守唄。
止まない足音と、この場にそぐわない歌声に、かつてない恐怖を感じた。
彼女は唄い終わり、私に何か話しかけてきた。
何かを説くような口調。
ところどころ聞き取れる、思い出話のような内容。
止めて。誰か。聞きたくない。助けて!
私は全身全霊の力で声を出そうとした。
始めは掠れた音を出すのが精一杯だったが、やがて呻き声を絞り出すことができた。
ぅ…ぁあ…
その瞬間、重苦しさは一気に消え、私の周囲で聞こえていた足音が遠ざかっていった。
私は母を叩き起こし、ついさっきまで起こっていた不気味な現象を話し終えると同時に、気を失うように眠りに落ちた。
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