3人が本棚に入れています
本棚に追加
最初にソレにさわられたのは、学生時代、サークルメンバーのうち十人程度で旅行した時だった。
車を出せるメンバーに運転してもらい分乗して、天城トンネルを通って宿に着いた。
助手席から降りて、座席に残した荷物を取る為に右手をルーフにかけ、車内を覗き込むように屈んだ。
その手の上を、
パタパタパタパタパタパタッ
複数の指で、まるで鍵盤を爪弾くように、素早く触られた感触がした。まるで降って来るようだと感じたのを覚えている。
「ちょっとー!Yくん、やめてよ」
笑いながら顔を上げて、向かいで悪戯している筈のドライバーを見た、つもりだった。
彼はとっくに荷物を手にして、車から少し離れたところで背中を向けて立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!