顔(夢)

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天井から黒い塊が滴り、頭上の電球にフラスコのように、溜まる。 いっぱいになると、ぼとぼと電球から溢れ出てくる。 零れて床に落ちたそれは塊になるとヒトの形を作り、のっぺらぼうのまま私に語りかけた。 ワタシに顔をくれないか? できないならば今まで通り、 お前を殺してお前になる。 そこで私は黒い身体から浮き出た真っ白な顔に、化粧を施し顔を造った。 眉を描き、アイシャドウで瞳を縁取り、紅をひいた。 すると「彼女」は泣いて悦んだ。 これでワタシも人間になれる。 自分が何者かも定まらず苦しんだその存在が、堪らなく愛おしくなって、私はそっと抱き締めた。 大丈夫、あなたという存在はちゃんとここにあるよ。 もうみんなから、あなたの顔は見えるから。
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