鏡(夢)

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陰湿な表情を浮かべた、眉さえ手入れされていない冴えない顔。 鏡の前に立つと、不細工な顔に嫌悪する。 すると鏡の中の人間は、もっと不細工になる。 目も当てられないほど、醜く暗い顔。 笑えば、同い年の女の子たちのように、明るく悩みもなくなるのだろうか。 前髪で顔を隠すこともない、スカートを上げた女の子たち。 よく知らない彼女たちを幸せと決めつけて、勝手にその能天気さに憧れていた。 笑えば、私も。 しばらく笑ってなんていなかった。 笑えば…。 私は果たして、笑おうとしたのか、笑ったのか。 鏡の中の私が、不気味ににやりと嘲笑った。
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