子守唄(現)

3/9
前へ
/17ページ
次へ
私は申し訳なさを感じながらも、そんな薄情な理由で合宿を抜け出して直行することを諦めた。 合宿を終えて東京の一人暮らしの自宅に戻り、喪服になりそうな黒い服などを準備して翌日発った。 そうして冷たくなった祖母に会えたのは、訃報から二、三日後のことだったと思う。 東京から八時間かけてようやく会えた棺の中の祖母は、いつもと同じ穏やかな顔だった。 死んでいるという実感がわかず、起きないのが不思議な気持ちになるほどだった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加