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「冬木、どうした?授業は?」 冬木だ。正直“またか”と思った。 「先生、お腹が痛い」 やっぱり。思った通りだ。 「腹が痛いなら保健室に行きなさい」 「酷いよ。保健室ニガテなの知ってるくせに」 「はぁ」 わざとらしく大きなため息をついてやった。 「じゃあ、そこで休んでいろ」 部屋の奥にあるソファを指して言った。 ここ、社会科準備室には何故か応接用のソファがある。 「ありがとう。先生」 パァと笑顔になってくっついてきた。 「腹は治ったのか?」 慌てて取り繕ってソファの方へヨタヨタしながら行った。 俺は苦笑しながら言った。 「五時限めが終わったら戻れよ」 冬木は体が弱いのか、ただサボりたいのか、ちょくちょくここに来る。 保健室の薬の匂いが駄目らしく入ったことも殆どないらしい。 たまに本当に顔色が悪い時もあるのであまり強くに言えず少し困っている。 「まぁ、考えても分からんか」 俺は仕事を再開した。 「そろそろかな」 時計を見るともう間もなくホームルームの時間だ。 「冬木、起きろ。戻る時間だ」 「うーん。はぁぁぁ」 凄い欠伸だ。 「戻れよ。俺も教室に行かなきゃいけないからな」 何も言わず手で挨拶をして出ていった。 「さて」 俺も教室に向かった。
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