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「乃亜!」
「未来ー!」
私は今日、初めて上の階に訪れた。ガムテープが貼られた割れた窓ガラスや、三角斤を付けたり松葉杖を突いたりしている男子達が何よりも印象的だ。
「どうしたの?教科書忘れたの?」
「ううん、乃亜に会いたかったから来たの!……って、なにその机と教科書」
乃亜の机には細々とした落書きがあり、そして教科書はかろうじて原型を止めていながらもビリビリに破られていた。
眉をしかめた瞬間、背後に人の気配が現れた。
「あんた誰?下の階の奴でしょ。いいこと教えてあげる。箱船乃亜とつるんでると、いじめられるよ?」
ひとりの女子と、それを囲うような5、6人の取り巻き達。
「別にいいよ?私、いじめられても」
「なッッ……!?」
「未来!?」
乃亜が焦ったように、私の腕を掴んだ。
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