62人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
それはまだ私たちが小学校低学年の時だった。
ノアの方舟の話が、道徳の授業の内容として出てきたのだ。
乃亜の名字は箱船。
読み方を変えれば、ハコブネ。
『おーい、ノアの方舟~!』
『違うもん!漢字も読み仮名も…違うもん…!』
『うわ~!方舟が泣いた~!』
私は、男子にからかわれ泣きじゃくる乃亜の代わりに男子を怒鳴り散らすことしか出来なかった。
そんなある日。
『乃亜が泣いてるでしょ~!やめなさあ~い!』
『うわ、未来怖い!』
『あ、未来って、みらいって読むよな!』
『みらいが方舟を守るっておかしいな!方舟がみらいを守るんだろ!』
『ぎゃーく!ぎゃーく!』
……そうやってからかわれてから、私は乃亜を守るのをやめた。
最初のコメントを投稿しよう!