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「──ねぇ、未来ってばッ!」
玖雨が後ろから抱き着いて、耳元で大声を出した。
そのせいで私はバランスを崩してしまい、下駄箱のわずかな段差を落ちてしまった。
「わ、きゃっ!」
「うわ、危な!」
危ないのは玖雨だっつーの……。
「なにやってんだか」
華に鼻で笑われる。……シャレじゃないよ?
「あー……んで、何の話してたっけ」
「箱船さんが昔いじめられてたのかっどうかって話!!」
……とは言っても、あれはいじめいうよりはただの「いじり」。男子は乃亜の反応が見たくてからかっていただけだろう。
だから……別に言っても平気だよね。だって首謀者の男子ですら忘れてそうなわずかな日数のことだもん。
「まぁ……あったよ」
「へー。なんか暗い雰囲気あるもんねー」
玖雨と華は納得したかのようにうんうんと頷いた。
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