41人が本棚に入れています
本棚に追加
/197ページ
家に帰り、自室に戻った美子は、早速封筒を開けた。
チョキチョキチョキ・・・
中には三つ折りにされた紙が、3枚程度重ねて入っていた。
美子は紙を封筒から取り出し、目を通す。「これは・・・」信じられないと思い、額に汗が滲む。とにかく電話と思い、受話器に手を置いた。
プルルル、プルルル
「うわっ」びっくりして、受話器を落とした。
ガチャーン!
美子は急いで受話器を拾い、耳にあてた。「は、はい?」電話の向こうからは、聞き覚えのある声がした。
「ナーニやってんだよ」優が言う。
「優!あの封筒、見た!?」美子は大声で聞いた。
「十分聞こえてるから、落ち着けって」優は驚いている様子もなく、いつも通りのようだ。
「そろそろだとは思ってたけど、フクロウで来るとは思わなかったぜ」優が続ける。
「そーそー。兄貴たち、何も言ってくれないんだモンな」と、電話の後ろから、朋の声が聞こえた。
「え?ナニ?どう言う事?」美子が必死について行こうとすると、優が説明した。
「俺たち赤橙(アカダイ)家は、魔法使いの家なんだ。だから、俺たち双子以外の家族は、みんな魔法学校に行ってる。で、魔法学校は12歳になった、魔力のあるヤツから行ける様になる。俺たち双子もお前も12歳で魔力があるから、中学校じゃなくて、魔法学校に行かなきゃならないんだ」
「ちんぷんかんぷん・・・」美子がぐるぐると思考を巡らせる。
「私が魔法使い?あり得ないよ。家族はみんな、人間だもん」
「人間の中に、突然魔法使いが生まれる事もあるんだ」優が言った。「とにかく明日、俺の親が買い物に連れて行くって言うから、金と封筒に入ってた“要る物リスト”を用意して待ってろ!時間は・・・am10:00だ。いいな」そう言って優は、電話を切った。美子も電話を切る。
「1人で考えてたって、仕方ない。親に正直に話そう」そう呟いて、美子はまた、自室に戻った。
最初のコメントを投稿しよう!