恐ろしい男性

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早朝五時。 カティリアは目覚めると、うーんと伸びをした。 背中までの長いウェーブの金髪に、魔的な紫色の瞳の十六歳。 顔はみんなからモテる方だが、当の本人は自覚していない。 「今日は雨ね…残念だわ」 雲行きが怪しい窓の外を見てカティリアは独り言を言うと、狭くこじんまりとした女性らしくない部屋を出た。 「あ、姉さんおはよう」 部屋の向かい側の扉が開いて、次女である読書好きな妹のシルファーナが現れる。 両手に、ご近所の古本屋のおじさんから貰ったであろう分厚い古い本を携えていた。 「シルファーナおはよう」 カティリアと同じ金髪を下の方で二つに縛った一つ下の妹。 青色の瞳はシルファーナの自慢の瞳だ。 シルファーナは欠伸をすると、カティリアにもたれ掛かる。 「眠い…」 どうやら、昨夜は遅くまで大好きな本を読んでいたらしい。 村一番の秀才と言われるほど、シルファーナは勉強家だ。 頭の回転が早く、近所の子供たちに勉強を教えたりもしている。 「とりあえず離れなさい。朝食の時間だわ」 シルファーナを押しやり、キッチンに向かう。
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