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明日の記憶(2006/12/30)
休み初日。
今日は年末大掃除の日である。
もはやゴミ溜めと化していた部屋を片付けねば何事も思うようにできない。
と決意して始めた割りにはすぐにでてきたマンガや雑誌に気をとられる。半日でおわる予定が午後になっても終わらない。大奥も見ちゃってさぁ今度こそやるぞと再度決意した背中を夕日が照らしだしたころ。
そいつは洋服ダンスの奥から見つかった。
袋に入った着替え一式。
正直、記憶がない。いつの物なのか、どんな時に着ていたのか、何も思い出せない。
と、中には手紙が。
「今まで一緒にいてくれてありがとうね。残ったたか君の荷物送ります。いつまででも大好きだよ ユカ」
…ワカラナイ。
ユカって誰だろう?
どこに忘れた荷物だろう?
いつのことだろう?
いくら思い返してみても、手紙の差出人にもその服にもさっぱり心あたりがない。
そんな簡単に別れてしまつた女がいたのか?
着替えにも覚えがないってことはその場で買ったものをその場で着てそのまま置いてきたってことか?
しかし我ながらひどい。文面から見るにこのオナゴはまだ未練たらたらではないですか。そんな子をよくもサラッと忘れることができるねキミは。イヤ今まで愛してくれた人愛した人の記憶は、しっかりとあるつもりだった。(テレビから察するにたぶん死ぬ時に必要な記憶だと思われる。たとえば‘り、りく…¨みたいな。)
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