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雨は冷たかった
風は痛かった
頬を滴れる涙は
嵐の中へと消えた
声も届かない雑音の中で
とりわけ目立つ金色の髪を
誰かが見つけてくれると
ただただ彷徨った
誰も声をかけてこない
誰も助けてはくれない
不幸ではないが不安だらけ
そんな不思議な感覚
小さくなっていく自分
このままでは埒があかない
自ら話し掛けなければと
彼らに交じって歌を唄った
認められたわけではない
ただ主張を持った自分に
気付き興味を抱いたのだろう
逃げてるだけでは駄目だったのだ
全てが正直で自分勝手な世界
ここは不思議な国でも何でもない
ただ捻くれた自分の心が
真をとらえず疑っていた
それだけの事
生きるとは何か?
自分の価値とは何か?
今までくだらなく思っていた事
素直と必死の素晴らしさ
そして切り出して行く勇気
それが見えてきた時
この世界に降り続いた雨は
いつの間にか上がり
自分の大きさも取り戻していた
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