空白の記憶

3/12
前へ
/19ページ
次へ
とりあえず体を起こしてみる。 すると部屋の隅で物音がした。 そこには、女の人がいた。 窓から風が入ってきてその人の長い綺麗な髪を優しく撫でた。 華奢な腕の上で本のページが捲れていく。 大きくて澄んだ目が僕をじっと見る。 …すっごい綺麗。 とびきりの美人だ。 それだけでなく、その人の顔を見てると何だか懐かしい感じがする。 不意にその人は、目に水っぽい物を浮かべた。 「えぇぇ?」 何で?何で?? 混乱している僕に更に追い討ちを掛けるかのようにその人は、ミイラ男みたいな包帯だらけ僕の体に抱きついた。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加