第9話

5/10
前へ
/100ページ
次へ
「柞原さん、あなた早退した方がいいわ。」 「雪風先生…。」 「あまり無理しちゃ駄目よ。」 「……ハイ。」 「…………柞原さん何か、悩みでもあるの?」 「……。」 「何でも貯めちゃ駄目よ。 先生で良ければ話してくれるかな?」 「……先生、私、大阪に引越すんです。」 「え? いつ?」 「再来月あたりに…。」 「……二学期いっぱいまで?」 「…ハイ。」 結芽の瞳から涙が溢れてくる。 「…あと、二ヶ月しか卓夢君の側にいられない。」 「柞原さん…。」 先生は、泣き虫な私の頭を優しく撫でてくれた。 暖かかった。 卓夢君の手と同じくらい、暖かかった…。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1440人が本棚に入れています
本棚に追加