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「好きだよ」の声が怖くて、逃げ出した。
人から好かれるのが怖くて、逃げ出した。
なんで僕?とか、そんな言葉なんて要らない。
ただ純粋に「人の好意」が、怖かった。
好意は悪意に近くて、限りなく同一。
行き過ぎた好意は、人を傷付ける。
そんな事実を信じていなかった自分。
無知を装って、軽視していた自分。
判ってる。
悪いのは、僕だ。
そんな人間になったのも全部、全部、全部…!
泣きながら喚いていたって何も変わらない。
僕は無力で、誰も守れやしない。
現に、僕の後ろにはどれだけの屍があるんだろうか。
それは僕の為に生き続けた人達、僕に関わった人達。色々な人達が居る。
その全てが屍であり、僕の原点。
綺麗な赤で染まる世界。
目の前は真っ赤に染まり、耳には怒鳴り散らす誰かの声と逃げ出す車のエンジン音。
所詮、僕の世界はこの「自由な悪意」で埋め尽くされていた。
そして、僕を責めない人達。
頭を撫でて行く人達。
僕に気づかずに横を通りすぎる人達。
そのどれもが自分の感情を抑えようと努力している事で、僕を責めようとしない。
それがただ辛くて、僕は人知れず涙を流した。
最後にあの子から聞いた「大好き」が忘れられなくて。
人の好意の「大好き」と被せて聞いている自分が憎くて、殺したくて。
どれだけ願ってもあの子は戻ってこないのは判ってる。
他の子達の「大好き」と言ってくれる好意で、自分を殺す。
その自分への殺意がただ怖くて、泣きたくて。
自分の身体に傷を付ける事で、毎日を過ごしている。
僕が生き続けるのは難しいかもしれない。
あの子を助けれなかったのは、僕にとっての罪。
僕の世界に、一つの「光」。
真っ赤に染まった世界は、一つの罪で正常へ。
自己嫌悪をしても、何を言われても。
自分を許したら、自分が壊れそうだった。
だからこそ、好意を受けても笑っていける勇気を。
あの子の分も生きて逝く勇気を。
自分が壊れても罪を背負う覚悟を。
赤で染めた世界を、またモノクロに戻して。
「笑って、逝かないと。」
そう言って夜の公園で一人、空に手を伸ばしていた。
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