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砂や血の固まりの混ざった湯が、排水口へ向かって流れていく様子を眺める彼の先に、ほんの少し希望が見えた。 呼吸を落ち着かせ、震えながらも何とか声を絞り出す。 「手当て…してくれようと思ったの…?」 彼は脳、もしくは精神に障害を持った人間なのかもしれない。 怪我をした私を見て、純粋に手当てをしてくれようと思ったのではないか。 私の問いに、彼の視線は排水口から私に移る。 目が合うと、彼はニッコリと笑った。
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