815人が本棚に入れています
本棚に追加
砂や血の固まりの混ざった湯が、排水口へ向かって流れていく様子を眺める彼の先に、ほんの少し希望が見えた。
呼吸を落ち着かせ、震えながらも何とか声を絞り出す。
「手当て…してくれようと思ったの…?」
彼は脳、もしくは精神に障害を持った人間なのかもしれない。
怪我をした私を見て、純粋に手当てをしてくれようと思ったのではないか。
私の問いに、彼の視線は排水口から私に移る。
目が合うと、彼はニッコリと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!