白紙の本

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「またまたぁ🎵じゃあ、いっそ…か~たんにする?」 「……もう、いいです…。」 そのまま、顔を見ず、頭を掻きながら図書室へと向かう。 「環(たまき)さんに抱きつかれるなんて、相変わらず、羨ましい限りだな。」 近くにいた同級生の裕樹がニヤニヤしながら翔をからかう。 裕樹は本作ではほとんど絡みはないが、環に惚れてる僕の親友だ。 「双子なんだから、なんとも思わないってば。」 …そう、タックルを決めた、女の子。 ショートボブで、サラサラな黒髪、身長は160とあまり高くないが、出るところは出ていて、肌は色白、顔は小顔で目は大きく二重、目じりの小さい黒子(ほくろ)が色っぽい。足は長く、女性らしい体付き。 正直、申し分ない。  だが、先に言った通り、こいつ(環)は僕の双子の妹。  僕と違い、とびきり明るい。頭も良く、面倒見のいい裏表のない性格。 図書委員長なのだが、剣道は三段で、都大会で今年は初優勝を決めた。 そんな環は男子の人気者。今まで何人の男の告白の場を提供してきた事か…。 そして、今まで何人の男を凹ませてきた事か。 …勿論アウトドア派です。 似て非なる双子の僕ら。 少し説明すると、両親は死んだ…、交通事故らしい。 僕らは孤児院で育ち、今は奨学金とバイト、寮生活で、なんとかしてる。 寮は特別の許可をもらって、環と二人で住んでいる。 おかげで、他の男子からはブーイングの嵐だそうだが、僕には関係ない。  …唯一の家族だから、大切なのは間違いないけど。
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