日常

2/5
前へ
/8ページ
次へ
『はっ!』 目が覚めれば、見慣れた天井がある あぁ………夢、か 額には冷や汗がでて、首筋等に長い髪が張り付く 荒い呼吸をなんとか整え、周りを見渡す よかった、私の部屋だ… 夢でのような真っ暗な暗闇は私を孤独にする 「水無月様………水無月様」 ふと視線を横にずらせば、太裳が私の顔を覗いている 『太……裳…………』 太裳を目にした瞬間、どっと疲れていた身体が安心していく 「悪い夢でも見ましたか?」 心配しながら気遣う太裳に私は大丈夫と返し、褥からでる カタ… ゆっくりと廊下にでれば冷たい風が吹く 『雪…………』 「水無月様?」 『雪が見たいわ……………』 病弱な私は外に出たこともなく、ましてや満足に動くこともできない 唯一楽しみなのは、四季相応の風景 春には暖かい風が吹き、桜が散る 夏はポカポカした陽射しが差し込み、池を照らす 秋は紅葉や銀杏が靡き、綺麗な彩色になる 冬は雪、寒いがひらひらと舞い散る雪は幻想的な風景 『いつになったら雪が降るかしら……』 あの真っ白な粉雪をもう一度みたい .
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

113人が本棚に入れています
本棚に追加