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チュンチュンという雀の鳴き声がし、水無月は自室からでる
少し歩き、目の前の部屋にそっと入る
部屋には褥が敷いてあり、一人の少年と小さな動物がすやすや寝ている
兎みたいな長い耳がゆっくりと上がる
『あら、もっくんは起きたのね。』
水無月がクスクス笑うと、もっくんと呼ばれた物の怪はピクリと起き上がる
「水無月か…」
欠伸しながら水無月の足元に寄ると、彼女は屈み込みもっくんを抱き抱える
『昌浩はまだ眠って?』
「夜警に遅くまで行ったからな、まだ当分起きないだろ」
ぐっすり寝ている昌浩に近寄り、軽く揺する
『昌浩、朝よ。陰陽寮に遅れるわ』
う~~~と唸り、中々起きない昌浩
どうしましょうと首を捻り、もっくんを見る
もっくんは長い長いため息を吐き水無月の腕の中から跳びでて昌浩のお腹目掛け着地する
「ぐへっ!!」
突然腹部の衝撃に驚き、目を開ける昌浩
『おはよう、昌浩』
「おは…ようございます、姉上……」
お腹に手をあてて唸りながら起き上がる
「もっくん…いきなりなにするんだ!」
「お前がいつまでたっても起きないのがいけない!」
「だからってもっとましな起こしかたがあるだろ?!この物の怪のもっくん!!」
「もっくん言うな!晴明の孫!!」
とうとう言い争いにまで発展していく
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