54人が本棚に入れています
本棚に追加
鈴木は再び双眼鏡を手に取り、噴水広場を眺め回した。
暴走族のリーダーらしき男が、噴水の縁に登ってなにやら叫んでいる。ちなみに特攻服にショットガンというよくわからない出で立ちだ。
『カッコ悪いな…』と思いながら観察を続けると、今度は公園に港で見た黒いSUVが滑り込んで来た。
「来たか」
そう言った直後、2台のSUVからは真っ黒な装備に身を包んだ特殊部隊風の男が数名現れ、自動小銃で暴走族グループに攻撃を開始したのだ。
こうして暴走族と名古屋国公安局特殊部隊との銃撃戦が始まった。
突然の襲撃を受けた暴走族は慌てながらも各自の得物を取り出し、反撃を開始する。
ちなみに、暴走族達は見栄のためかマグナム・リボルバーを使用する者が多かった。
対する特殊部隊は圧倒的少数でありながらも、SUVや噴水の影に滑り込んで確実な射撃をした。
彼らの自動小銃は次々と暴走族を捉える。
5分としない内に勝負はついた。特殊部隊の圧勝という形で。
生き残った暴走族は両手を挙げ、投降した。
鈴木は双眼鏡を放り投げ、G3簡易狙撃銃に暗視スコープと消音器を装着する。
ちなみに、簡易狙撃銃とは通常のアサルトライフルから精度の良い物を選び、狙撃向けの改造をしたライフルだ。
「来た来た…」
鈴木はスコープ越しに、広場に入ってきたベンツを見つけた。港で見た黒いベンツである。
黒いベンツから初老の男が降りてきた。
彼こそが名古屋国公安局の局長。彼は反乱分子やチンピラを容赦なく殺すという政策から、“死神局長”の異名を持っていた。
「なかなかのお手並みだったよ。ホッホッホッ」
局長は拍手を特殊部隊員達に送る。
彼は暴走族鎮圧の視察に来ていたのだ。
そして、局長は特殊部隊に投降した暴走族を皆殺しにするよう命令する。
「し、しかし」
「いいからやりたまえ」
特殊部隊員達はもちろん躊躇した。しかし、局長の有無を言わさない言葉により仕方なく引き金を引く。
「ぎゃああああ!」
「止めてくれぇ!」
夜の公園に響き渡る悲鳴と銃声。噴水を赤く染める鮮血。
投降し、一列に並べさせられていた暴走族は皆殺しにされた。
最初のコメントを投稿しよう!