終わりの日

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「いやぁあぁっ!!なんで!なんでっ!私だけ1人にしないでっ!!!」 けたたましく鳴るサイレンの中、澄蓮が大きな瞳に涙を溜め叫んだ。 リビングのソファーには、朱龍の亡骸が横たえられ、その隣りで頁が辛そうに血を吐き出していた。 澄蓮の目の前に居る龍一とエレンも頭から泥に汚れ、体躯のそこかしこから血を流している。 「…澄蓮、お願いだから言う事を聞いてくれ…。私達はもう、お前を地上まで連れて行く体力は無い…だから、此処でお別れだ。」 「嫌っ!嫌よっ…だったら、私も此処に残る!!」 泣き叫び、共に自害を望む澄蓮の頬を龍一が打った。 「…此の階段をひたすら昇れば、地上の明け方には桜木の本邸に着く。澄蓮は地上の人間だ、僕達みたく地下の人間じゃあ無い。楽しかった。でも、永遠にさよならだよ。」 突然頬を叩かれ、キョトンとする澄蓮に龍一が言い聞かせる様に言えば、澄蓮が再び騒ぎ出す前に地上へと続く階段のある扉の中へと押し込み、外側から鍵を掛けた。 サイレンは鳴り止む事無く、地下の人間達に避難する様に促し続けた。 「1回死んでさ、また生まれ変わってさ、みんなで此処で逢おう。」 龍一が澄蓮を閉じ込めた扉に背を預け座り込んだ。 「嗚呼…そうしよう。」 座り込んだ龍一に寄り添う様にエレンも座り、震えた声で同意した。 「…強く願い続ければ、きっとまた逢えるさ。…約束だ。」 先程まで辛そうに血を吐いていた頁も、2人の前まで這う様に移動して来ていた。 サイレンは鳴り止み、不気味なまでの静寂が一瞬訪れ、次の瞬間、地の底を震わせ強烈な熱風が襲った。 「―…いやぁあぁぁぁっ!!!!!」 扉の中にいても感じた爆風に澄蓮が一層強く扉を叩き、喉が裂けそうな程叫んだ。 * * *
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