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「今日から新しい学校で緊張するなぁ」
髪をポニーテールに束ねた少女は、引っ越してきた町の転校先である学校の教室で、独り言を呟いた。
「すいません、隣、いいですか?」
ふいに、栗色の髪が肩まで伸びた少女が、笑顔で話し掛けてきた。
「あっ、はい!どうぞ」
「ありがとう」
栗色の髪の少女は、ポニーテールの少女の隣に座ると、「転校生?」と聞いてきた。
「うん。今日からなんだ。緊張して、早めに家を出たんだけど、まだ誰も来てないね」
「この町の人たちは、結構時間にルーズだからね」
栗色の髪の少女は、屈託のない笑顔で笑う。
そして、手を叩くと言った。
「そうだ!じゃあ、みんなが来るまで、この町に伝わる話をしてあげるよ」
「えっ、いいの?聞きたい!」
「うん。あのね、五十年くらい前にね、この町の外れに大きなお屋敷があったの」
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