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「ん~、いい天気だ」
青年はそう言うと、窓を開けた。
朝の明るい陽射しが、青年の顔を照らし出す。
青年の名は“キアス・ルキア”。
友達からは“キャス”と呼ばれている。
今日で十八回目の誕生日を迎える。
家族は、いない。
キャスは、洗面所で顔と歯を洗い、背伸びをした後で、お気に入りの大きな白いソファーに腰をおろした。
「リル、今日の予定は?」
「ハイ。ゴゼン9ジカラ、ガッコウノコウギ。ゴゴ6ジカラハ、ミリアサンノイエデ、パーティートナッテイマス」
「そっか、ありがとう」
「イイエ」
“リル”は、キャスが造った『音声認識ロボ』だ。一人で住んではいるが、やはり独りというものは淋しい。
“リル”は、そんな淋しさを少しでも埋める為に造られた。
キャスは十六歳の時に、国に才のある科学者として認められ、博士としての称号を得た。
キャスにとって、そういった称号を得ることは、どうでもいいことであったが、一人の人間としてここに存在している、という安心感があった。
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