『第一章』 出逢い

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 来客者に発見された時には、キャスは、まるで魂が抜けたかのように呆然としていたらしい。  もっとも、それは、その事件が起こって何年も経った後に聞かされた話だが。  しかし、それもそのはずだ。  いくら幼く何が起こったか分からないとはいっても、目の前で自分の両親が死んだのだ。  気をしっかりと保てるはずがない。  でも。  きっと幼心に分かっていたのだ。  自分が殺した。  気が付いた時には、キャスは病院のベッドの上にいて、その時の記憶はなくなっていた。  幼いキャスには、その過酷な現実を受け止められる心が、まだ、なかった。  「…お父さんは?お母さんは?」  目覚めたキャスが、最初に口にした言葉だった。  そこの医師は、とっさに嘘をついた。  「きみのお父さんとお母さんは、急な用事ができて、しばらくの間、帰ってこれなくなったんだ。でも、きみはいい子だから、一人で待っていられるね」  「うん。僕、ずっといい子で待ってるよ」  記憶をなくしていたキャスは、その医師の言葉を素直に聞き、そう答えた。  
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