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しかし、その言葉とはうらはらに、キャスの目からは涙が零れ落ちていた。
心のどこかで、もう二度と会えないことが分かっていたのかもしれない。
キャスには両親以外に親類はいなかった。
叔父さん、伯母さんはいたが、二人とも、その日のパーティーで命を落とした。
俺の呟いた一言で、みんな死んでしまった。
俺がみんなの命を奪ったんだ。
キャスが真実を知ってからは、その罪悪感と消失感から逃れられる日は、一度だってなかった。
引き取り手のいなかったキャスは、それから施設に引き取られ育てられた。
そこには、キャス以外にも多くの子供たちがいて、皆で協力し合って生活を送っていた。
施設の仲間との暮らしは、それなりに楽しかった。
気の合う友達も出来たし、何より皆の優しさが嬉しかった。
でも、年を重ねるごとに、なかなか迎えにきてくれない両親に対して、疑問は募るばかりだった。
「お父さんはどこにいるの?お母さんはいつ帰ってくるの?」
十三歳になった日、キャスは、施設の院長から真実を告げられた。
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