『第一章』 出逢い

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 それは、心の奥底にずっと眠らせていた忌まわしい記憶。  「お呼びですか、院長先生」  「ええ、キャス。ここに座りなさい」  「はい…?」  「いいですか。落ち着いて聞きなさい」  院長は静かに語りだし、キャスは厳しい現実を知った。  院長の話を聞き終わったキャスの心は、言い様のない想いと絶望感でいっぱいだった。  どうして。  なぜ。  嘘だ。  そんな問い掛けと否定が頭の中を行き来しては消えてゆく。  しかし、それは確かな真実。  キャスには、もう、それだけの真実を受け止められる精神が備わっていた。  キャスは、全てを思い出した。  あの忌まわしい言葉も、全てを。  「…じゃ…あ、僕が…俺が、両親を殺したんですね」  力なくうな垂れたまま、キャスは消え入るような声で、確認するように、院長に言った。  「そうじゃありません。あれは事故だったのです。キャスは何も悪くありません」  院長は優しく、それでい哀しい眼差しで、キャスを見つめた。  
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