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長かった入学式も終わり、生徒達は教室で待機していた。
クラスの発表は受験番号だったため、クラスメートはもちろん担任の名前すらわからない。
少しずつ友達の輪を作ってるところもあれば、浩太郎のように一人で時間が過ぎるのを待っている者もいた。
そんなぎこちない空気が張りつめる中、廊下からは足音が聞こえ始めた。
…カツッ…カツッ…カツッ……ガラッ!
扉が開き、担任と思われる若い青年が入ってきた。
その青年は入ってくるなり浩太郎の方を見てニヤッと笑った。
(あれ?どっかで見たことある顔だなぁ…。)
浩太郎はそう思った。しかしそれが誰だか思い出せないまま、その青年は話を始めた。
「はじめまして。湯本 修哉(ユモト シュウヤ)です。」
「(ん?湯本修哉?ええ!?)はあぁぁぁぁああ!?」
浩太郎は思わず叫んでしまった。それもそのはず、何故ならこの湯本修哉という青年は浩太郎の元家庭教師なのだ。
しかし修哉は
「えっと…河村君?どうかしたかな?」
そう言いながら浩太郎にウィンクをしてきた。
周りの視線を集めた浩太郎は黙って頷くことしかできなかった。
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