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「俺、来月から東京に戻らないといけなくなった。」
聞けば、この町にある高校でやるはずだった教育実習が急遽出身校に変わったらしい。
しかもそのまま東京にあるキャンパスで卒業まで過ごすらしい。
「つまり、今月でお別れだ。」
修哉はそう言い残しその日は帰っていった。
浩太郎はいきなりのことで、戸惑っていた。
「なんでだよ…どうして修哉が東京に帰らなきゃいけないんだよ……まだまだいろんなこと教わりたいのに…………」
翌日、浩太郎は素直に自分の気持ちを告げた。
修哉は一瞬困った顔をしたがすぐ笑顔になり
「俺もまだまだ浩太郎にいろんなことを教えてやりたい。」
と言った。さらに、
「俺は来年から東京で高校の教師をするつもりだ。おまえにその気があるなら、高校は東京の私立を受験しろ。今のままおまえが頑張れば大丈夫だ。」
と付け加えた。
こうして修哉は東京へと帰っていった。
次の日から浩太郎は東京の私立高校を目指し勉強をはじめた。
浩太郎のなかで、修哉という人間は少しずつ過去の人になっていった。だが、決して受験をやめる気はなかった。
こうして、浩太郎は東京の私立高校に無事合格し、修哉と再会する事となる。
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