彼女の叫び

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 淡々と説明する夏奈に月村は真面目な顔をして言った。 「前言撤回するよ。あんたオテンバじゃないな」  ははは。と笑う。夏奈はキョトンだ。美紀も夏奈と同じ事を思っているだろう。何を言いたいんだ。 「……?」  夏奈は当然の反応。そのもの考える顔まで可愛らしい。 「いや、随分真面目な顔して語るからさ。つい。わるいわるい」  夏奈が質問をする前に月村が答えた。  井上夏奈という人物は悪いが容姿が良いが頭は悪い。という風に感じる。その一般に感じる雰囲気を纏っている。誰もがそう感じるであろう。だが、実際は真面目にものを考え、深刻さも理解できる。だからこそギャップを感じてしまい月村は理解できずにオテンバと表現した。それについての謝罪だと分かった。  夏奈自身そう思われてきたのだ。「えぇ!?頭良いねぇ」。そう何度言われた事だろう。「えぇ!?」とはなんだ。それは私に対するイメージが『頭悪い』だったのに点数を見て、頭良いんだと理解した証拠じゃないか。何度こう腹をたてただろう。 「いえ……」  過去を知るはずのない月村にそれを理解されたように感じ体が火照った。 「……まぁとりあえず話を戻そう」  月村は夏奈の言ったさっきの内容をメモった。 「巧い手使うねぇ……犯人」  月村は書き出しながら言う。 「どういう事?」  美紀が訊く。 「この時期にやるってのが巧い」  この時期というのは夏休みということだろう。それは分かるが意味が分からない。この時期と言われても暑いしか頭に浮かばない。 「……バンドの練習って事ですか?」 「察しが良いな。ってことは放送室は……」 「駄目でした。判断出来ないので」  二人は通じ合っているが美紀には意味不明。理解できない。 「待った。ストップ」  二人の前に手を出す。これ以上進むと意味が……。  
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