プロローグ

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「もぅやだ……」 「自己責任」  月村の言う通りではある。進学校に通っていたという事で、少し調子にのっていたのかもしれない。今になって少し後悔した。月村(他人)の所為にするのは負け犬だ。美紀の中にあるプライドがそう美紀に告げた。 「……そういやさ」  美紀は、学年上位者に匿名希望がいたことを思い出す。確か学年二十位くらいにいた。 「ん……?」  月村は話を聞きながらページをめくる。 「学年順位の匿名希望って月村?」 「良く分かったな。俺は頭良いことをわざわざ人に見せびらかさない」  あっそう……。相変わらずナルシスト。 「ナルシスト……」  美紀は呟く。 「ナルじゃねぇ。自信家と言え。落第野郎」 「な……!」 「まぁ精々頑張って勉強するんだな」  こいつ……!腹立つ。よ。  月村の容赦なさに落ち込むと言うか、意気消沈。人の急所を人の事考えずに潰す。だからこそHBKなどを捕まえれたかもしれない。多少の冷酷さは必要か。草木はやり過ぎだと思うが。  いつの間にか大体十分が経った。もうすぐで行かなくてはいけない。 「ねぇ、なんでここにいるわけ?夏休みなのにさ」  最後に質問を。 「俺は頭良いから暇なわけ。それに夏休み中も相談を受けるのが難虫だ」  なるほどねぇ……。 「そぅ……じゃね。暇人」  最後に嫌みをぶちまけて図書室を出た。  美紀は未だに難虫の真実を知らない。月村は、美紀に危害を加えられてはいけない。と思い、出会った時から全てを考えて行動していた。HBKを肯定したり、変な真実を作ったり。天才策士だ。『君想』は嘘なのかもしれないが、美紀にはすごく嬉しかった。好意はないと思うのだが。
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