プロローグ

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「まぁ私……暇だから良いけど」  その言葉が頭に引っかかったのだろう。月村は美紀に仏頂面をぶつけた。 「……なに」 「俺に暇人っていう権利ないな」  っ……。 「うるさい……」  あぁ……やばい。 美紀は早くも月村に対してギブアップ。月村の言葉の正確さと、棘が辛い。それに加えてこの暑さ。死にそうだ。 「あつ……」 「……」  美紀は暑くて仕方ないが、月村はとても涼しげだ。夏服は同じだが。表情が違う。 「あ~つ~い」 「うるさ」 「しつれーします!」  月村が美紀に喝をとばす瞬間図書室の扉が勢いよく開いた。 「な、なに」  美紀は身構える。 「月村未城先輩いますか!」  長い髪を後ろでまとめた女子生徒がずかずか歩いてくる。  月村も美紀も唖然で、固まる。 「お、俺だけど……」 「相談していいですか!」 「うん……いいよ」  急に舞い込んだ相談は美紀の夏休みを潰すこととなった。
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