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美紀は図書室で相談を受けるスタイルになる。月村が相談者の前に座り、美紀が月村の横に座る。
彼女は、急に図書室に飛び込んできたわけで性格はまぁ……。
「井上夏奈(いのうえかな)です!」
「あ……はい」
月村は彼女の気迫に圧されなんと言うか微妙な顔をしている。いつもの、月村が淡々と質問するスタイルが消えていた。その理由は分かっている。井上と名乗る彼女の性格の問題もあると思うが、一番はおそらく月村の第一声であろう。相談いいですか? と訊かれ、いいよ。 と答えた。つまり相談を受けるということになる。月村は質問をしてから受けるか決めていた筈だ。
月村は一度一息ついて、彼女を落ち着かさせた。
「……まぁ一回いいかな」
一回ってなんだろう。 美紀は思う。妙な事は言わないし、言い間違いはしない。一回とはなんだろう。
「はい……?」
井上とりあえず止まる。
「あの、俺質問するんで、それだけに答えてください」
滅多に使わない敬語が出ている。 もしかして苦手なタイプ?
「あ、はぁい」
軽く手をあげる。美紀は少し吹いた。
なんて子供なんだろう。つか可愛いなコイツ。腹立つことに。 美紀は井上の顔を見て思った。女をカテゴリ分けした時、属すのは明らかに綺麗系ではなく可愛い系であろう。
この学校美人さん多いな。
「で、最初から。名前はなんですか?」
「え?井上夏奈です」
「……一年Hだよね?」
靴の色は一年生だ。敬語がここから消えた。最初から先輩と呼んでいたのだから一年だと判断できた筈だ。それに集中出来ないほどに井上の印象は強かった。
でもなぜHと?
「はい。Hです。先輩は頭良いのに何でFなんですか?」
また井上から質問が飛ぶ。
「ん?まぁ……何となくな」
「月村何でHって知ってんの?」
気になるので口を挟む。
「……四月に新入生の超オテンバ女子が満点とったって噂がたったの。名前は井上だって覚えてたってわけで、満点とりゃ有無言わせず特進だろ」
超オテンバ女子で井上。判断材料は十分か。
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