1人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
ざわつく心とは裏腹に、初顔合わせの自己紹介はスムーズに進んでいった。
途中、彼女の顔をチラリと見ると、鼓動は高鳴る。
彼女はすまなそうな表情をしたまま、一人一人の自己紹介に真剣に聞き入っていた。
自分の番だ。
立ち上がり、簡単な挨拶をする。
いつもはさほど緊張しないのに、今日はいやに落ち着かないのは彼女のせいだろうか。
お辞儀をしてチラリと彼女を見ると、バッチリ視線が合い、彼女は顔を赤らめて俯いた。
聡志はどうしようもない想いにとらわれた。
「では、そんなカンジで始めていきたいと思います。宜しくお願いします」
ぞろぞろとみんなが会議室を後にする中、聡志は彼女へと足が向いていた。
「初めまして。昔から大好きでした」
声は同時で、周囲も聡志本人も、息を呑んだ。
顔を上げると、同様に彼女も顔をあげた。
思わぬ告白に、なんだか無性に可笑しくなり、聡志は声を上げて笑った。
それを見て彼女も、緊張がほぐれたのが、優しく、にっこりと笑った。
「初めまして。宜しくお願いします」
😃
最初のコメントを投稿しよう!