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2003年
2003年~4月~
秀人がいなくなって早くも4ヶ月経った
なのにあたしは前に進んでない
あの日あのままあたしは秀人と共有した時間の中で止まっている。
…あたしは弱い人間だから、怖くてここから進めない
秀人、こんなあたしを迎えにきてよ。
「遅ぇーよ(笑)」
そう言っていつもみたいに頭を撫でて…
――――――――――――
そして、そのまま私は中3になった
この頃、学校もあまり行きたくなくて引きこもりがちになっていた。
学校は大きな道路沿いに建っていたので、たまに秀人と同じバイクの音がする。
秀人のバイクはハーレーだったから音が太くて低いんだよね
いつも迎えがくる度に、その音が近くなると楽しみで仕方なかった。 秀人が迎えにくるの待ってる時は、外で立って待ってて秀人がくる方向からライトの光が漏れるたびにドキドキしてた…
バイクの音を聞くと、思い出してしまうから。
それに学校と家の間にある秀人が働いていたガソスタ。
もうそこには秀人のバイクは無く、秀人の面影がない。
秀人の代わりに、新しい人が入っていた。
これが現実。
みんなは前に進んでいるのに、あたしだけは止まったまま。
秀人はもういないのに。
いくら待ってもきてくれないのに。
いくら想っても届かないのに。
わかってる。わかってるけど…
こうしてあたしの目からは止まる事を知らない涙がまた溢れた。
残された未来には希望なんてなかった。
とにかく早く秀人の側に行きたかった。
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