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そして健と別れた私は日常に戻った
「束縛のきつい男は面倒臭いことになるから止めよう」
そう誓った
まるで、今から本気の男を探す気もない私の教訓。
…これが秀人だったらならあたしは多分泣いて「捨てないで、何でもするから」とすがりつくだろう。
それどころか、面倒臭いなんて微塵も思わない。
むしろ秀人が他の男に関わるなとヤキモチを妬いてくれるなんて嬉しい。
こんな事が現実に起これば、あたしの中で秀人がもっともっと愛しい存在になっていた事は確かだった。
もう秀人がいないのはわかっているけど、どうしても寂しい。
秀人に傍にいて欲しい。
秀人に愛して欲しい。
あたしは秀人がいい。
秀人じゃないとダメなの。
何かが足りないの。
いくら格好良くても完璧じゃないの、秀人じゃないから。
まだ秀人の姿が、仕草が、匂いが全て愛しい。
学校でもどこでも秀人と同じBVLGARIのBVLGARI BLACKの香りがする度に振り返ってしまう
振り向いたら秀人がいるかもしれない…そんな淡い期待を残し、いなくなった秀人の面影を探して。
あれから2年も経つのに、あたしはまだこんなにも秀人を愛していた。
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