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もうすぐ季節は夏になる
あたしは高2になっていた
そして毎年開かれるお祭りの時期が訪れた
集まる人の中で私は翼を探した
でも…いつも翼のいるグループの中に翼はいなかった
「あれ?翼くんいないね」
友達が言った
私は少しがっかりした
「ねぇ、翼くんに電話かけてみなよ(・ω・)♪」
友達に言われた通り、翼に電話してみた
プルルル…プルルル…
呼び出し音が鳴る
「もしもし?」
翼が出た
『もし~?今日のお祭り、翼こないの?』
「あ~行くはずの友達が事故っちゃって足なくて行けないんだよね」
『そうなんだ~わかった。じゃあまたね』
「またねー」
ちーん…(´・ω・`)
「翼、友達事故っちゃって足なくてこれないって」
『そっかぁ、残念!』
とりあえず、その日は友達とお祭りを楽しんだ
帰り際、お兄ちゃん達のやってる屋台に寄った
お兄ちゃんが
「どうやって帰んの?」
『自転車だよ』
「暗いから危ないし俺乗せてくわ!直樹、俺の単車裏に停めてあって多分まだ出せないからお前の貸して。満タンにして返すから~」
そして借りた直樹くんのバイクは…秀人と同じハーレーだった。
見た瞬間
「これじゃないように、これじゃないように」
って願った
でも久しぶりに乗ったハーレーは、音は似てたけどお尻がちょっとゴツゴツしていて秀人のとは座り心地が違った
秀人、やっぱり秀人のとは違うね。
でもハーレーの音と夏の匂いだけはあの頃と同じだった。
秀人が生きてるときみたいで、お兄ちゃんの背中に隠れながら、あたしは少しだけ泣いた。
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