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それから数時間後、ホテルを出て車に戻る。
対向車のライトで時折照らされる夏希の端正な顔を見ると…
こっちを見てた。
「─…由奈、ありがとう」
「名前、照れちゃうね。私の方こそありがとうだよ。とりあえず今は仕事頑張って!時々しか会えなくても、メールくれたら大丈夫!!って思えるから。だからメールは頂戴ね。」
夏希は優しく微笑み、私の手を握った。無言の『アリガトウ』だ。
家までの車中、会話という会話はしていないけれど
無言の時間も夏希となら全く苦にならない。
私にもやっと落ち着ける場所が見つかった──
そんな気がした。
家の前に着くと
「次、いつ会えるかわかんないけど…必ず連絡するから。」
と夏希。
「うん、わかった。待ってるね。」
と言い、夏希の頬にキスをした。
「びっくりしたぁ。」
夏希は照れ屋さんだからね。
「ふふ。気を付けて帰ってね。」
「わかったよ。じゃあまた連絡するね。」
走り出した夏希の車が角を曲がるまで見送った。
「計り知れない【愛】だな。」
そんな事を呟きながら─
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