夏希

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ブルーの照明が綺麗なバーで同期の女の子と二人でダーツを楽しんでいると、人懐っこい笑顔の男の子が私達に話し掛けてきた。 「向こうで一緒にビリヤードやりませんか?」 私達はビリヤードに入りずらい雰囲気だったので顔を見合わせてから 「ビリヤード下手だし、もう少しダーツ楽しみたいから…。」 と言ってやんわりと誘いを断った。 それでも人懐っこい笑顔の男の子は諦めず食い下がる。 「ビリヤードめっちゃ巧い人がいるから、その人に教えて貰ったら大丈夫ですよぉ♪絶対楽しめるし!ね?」 何だかとっても必死な感じだったので私は笑ってしまった。 「アハハ。わかった、ビリヤードやってみるよ。」 ─その男の子より明らかに年上な気がした私は、彼に対してその時から敬語を使わなくなった。警戒心が溶けたから。 夏希に出会うきっかけを作ってくれたのは─────彼だったね。
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