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* 行く宛もないのに フラフラしている気分にも成れなかったので、 私は、そのまま家に戻った。 本当は家も厭だったけれど生憎、 金銭を持たずに 家を出た為に、ホテルに 行く金もなく…。 部屋のカーテンは 暗幕の如く 完全に光を遮断している。 去年、彼が突然買ってくれた燭台に蝋燭の炎が踊る。 「…っ…っっ。」 涙が だらだらと流れ始めた。 嗚咽も止まらず、 何と醜きかな、自分。 胎児のように、 小さく丸まって世界を遮断した。 此のまま、 本当に胎児に戻れたら どれ程良いか。 そして、やり直すの。 十数年後、 また今日を迎え、 貴方が去っていく瞬間 袖を掴んで心中でも 勧めようかしら。
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